遮断棒が揺れる不具合について
susukuma鉄道模型チャンネルからの不具合報告
susukuma鉄道模型チャンネルから以下の連絡を受けました。
1.踏切を車両が通過するとき、遮断棒が大きく揺れる事がある。
2.必ず起こるわけではなく、KATO製の比較的新しい動力車が踏切を通過するときに起きるようだ。
3.TOMIX製の車両では今のところ起きていない。
2.必ず起こるわけではなく、KATO製の比較的新しい動力車が踏切を通過するときに起きるようだ。
3.TOMIX製の車両では今のところ起きていない。
原因の推測
提供した踏切模型は遮断棒を磁石で動かしているため、動力車のモーターからの漏れ磁力によって遮断棒が揺すられるのは間違いないと思います。
TOMIX製はOKでKATO製はNGとの事なので、モーターについて検索してみました。
すると、モーターが金属(鉄)製ケースに入っていて磁石が直接見えないタイプと、そうでないタイプがありました。
通常DCモーターは写真のように外側のケースを透磁率の高い金属で作り、ケースを磁力回路の一部(磁力線の通り道)とすることで永久磁石の利用効率を上げています。
その場合、永久磁石から外側に出る磁力線はほとんどがケース内を通ってループするため外への漏れは少なくなります。
TOMIX製はOKでKATO製はNGとの事なので、モーターについて検索してみました。
すると、モーターが金属(鉄)製ケースに入っていて磁石が直接見えないタイプと、そうでないタイプがありました。
通常DCモーターは写真のように外側のケースを透磁率の高い金属で作り、ケースを磁力回路の一部(磁力線の通り道)とすることで永久磁石の利用効率を上げています。
その場合、永久磁石から外側に出る磁力線はほとんどがケース内を通ってループするため外への漏れは少なくなります。
一方ケースが無い、または窓がある場合はそこから磁力線が外に大きく漏れると思われます。
KATO製の新しいモーターで、スロットレスモーターというのを写真で見ると形状的に漏れが大きそうです。
このようなモーターを搭載している車両が遮断棒を揺すると考えられます。
KATO製の新しいモーターで、スロットレスモーターというのを写真で見ると形状的に漏れが大きそうです。
このようなモーターを搭載している車両が遮断棒を揺すると考えられます。
対策
susukuma鉄道模型チャンネルからモーターの漏れ磁力が大きい車両を1両だけ借りて実験しました。
その結果、以下の 3つの対策の合わせ技 で何とか対策できそうです。
現時点では1車種のみのテストしかできていないので対策品を鉄道模型チャンネルに送って試してもらう予定です。
その結果、以下の 3つの対策の合わせ技 で何とか対策できそうです。
現時点では1車種のみのテストしかできていないので対策品を鉄道模型チャンネルに送って試してもらう予定です。
【対策1】遮断機駆動箱にストッパーを追加
図のように突起を追加して遮断棒が水平より下に下がらないようにします。
この対策は遮断棒の下振れ対策だけでなく、後述の上振れ防止対策のためにも必要です。
追加するストッパー(突起)は小さいですが一般的なノズル径0.4mmの3Dプリンタで作成可能でした。
ただし突起部が小さいので印刷速度や温度の調整が必要かもしれません。
私が使っている3Dプリンタでは1個だけ印刷すると突起部の形状が少し崩れました。
4個を一括プリントするとそれぞれ時間間隔をあけて層が印刷されるためかうまく行きました。
サポート材が不要になるように2分割しているのでプリント後にFとL または FとRを溶剤型接着剤で接着します。
3Dデータを添付します。
crossing_box4_F.stl , crossing_box4_L.stl , crossing_box4_R.stl
接着後に軸を通す穴をΦ0.5mmのドリルで仕上げ加工します。
図のように突起を追加して遮断棒が水平より下に下がらないようにします。
この対策は遮断棒の下振れ対策だけでなく、後述の上振れ防止対策のためにも必要です。
追加するストッパー(突起)は小さいですが一般的なノズル径0.4mmの3Dプリンタで作成可能でした。
ただし突起部が小さいので印刷速度や温度の調整が必要かもしれません。
私が使っている3Dプリンタでは1個だけ印刷すると突起部の形状が少し崩れました。
4個を一括プリントするとそれぞれ時間間隔をあけて層が印刷されるためかうまく行きました。
サポート材が不要になるように2分割しているのでプリント後にFとL または FとRを溶剤型接着剤で接着します。
3Dデータを添付します。
crossing_box4_F.stl , crossing_box4_L.stl , crossing_box4_R.stl
接着後に軸を通す穴をΦ0.5mmのドリルで仕上げ加工します。
ストッパーに対応してマグネットフォルダー側も形状を小修整しました。
MagnetHolder3.5_R.stl , MagnetHolder3.5_L.stl
マグネットフォルダーも分割しているので、印刷後溶剤型接着剤で接着します。
なにせ部品が小さいので私は小筆で接着剤を塗っています。
接着後に遮断棒を入れる穴をΦ0.8mmドリルで仕上げ加工しΦ0.8mmの真鍮パイプを瞬間接着剤で取りつけます。
その後、軸穴をΦ0.6mmのドリルで仕上げ加工します。
軸穴を直角に開けやすくするために作った治具の3Dデータも添付します。
MagnetHolder3.5_jigX1.1_R.stl , MagnetHolder3.5_jigX1.1_L.stl
Φ0.5のステンレス線の軸で組立てる方法は変わりません。
組立後、無調整で水平にはなかなかならないので目の細かいやすりやカッターナイフでマグネットフォルダとストッパーが接触する部分を削り水平になるように調整します。
なお以前のマグネットフォルダもストッパーに当たる部分を削れば使えます。
追加したストッパー(突起部)は3Dプリントするにはこれ以上細くするのが難しそうです。
ですが強度的に余裕があるので目の細かいやすりなどでもっと細く短く削るればより目立たなくできそうです。
組立後、無調整で水平にはなかなかならないので目の細かいやすりやカッターナイフでマグネットフォルダとストッパーが接触する部分を削り水平になるように調整します。
なお以前のマグネットフォルダもストッパーに当たる部分を削れば使えます。
追加したストッパー(突起部)は3Dプリントするにはこれ以上細くするのが難しそうです。
ですが強度的に余裕があるので目の細かいやすりなどでもっと細く短く削るればより目立たなくできそうです。
【対策2】駆動部天板厚を3mmに限定
以前の裏面駆動機構の設計仕様は天板3mm厚+かさ上げ板厚0~6mmとして裏面磁石の移動距離を決めていました。
しかしながら磁石間の距離がひらくと対策が非常に困難なことがわかりました。
そのため裏面駆動磁石上面と遮断機取付面との距離を3mmに限定することにしました。
3mm厚天板に直接遮断機を設置することで対策が強力に行えます。
susukuma鉄道模型チャンネルで今後追加設置する踏切にはかさ上げ板は不要と言われているので問題ありません。
ところがすでに設置済みの踏切は田んぼの中の踏切なので十字型のかさ上げ板が必須だそうです。
苦肉の策として磁石が動く部分の天板及びかさ上げ板裏面に溝を掘ることにしました。
溝に入るよう磁石を上に持ち上げるか上に足して遮断機取付面との距離を3mmにします。
【対策3】磁石の配置変更
遮断棒の上振れを防止するため、遮断棒がストッパーに当たって水平になった状態でさらに下に強く引くように磁石配置を変える事にしました。
以前の設計では遮断棒を水平より下に引くには裏面磁石を遮断棒からかなり離れた位置に持ってくる必要があります。
その場合磁石間距離が長くなるため引力が弱くて十分な対策ができません。
いろいろ試した結果、遮断棒側の磁石に近い位置で遮断棒を下に強く引ける配置が2つ見つかりました。
磁石配置1は遮断棒側の形状が変わらず、磁石追加で対策増強が簡単です。
磁石を2つ横にならべれば遮断棒が水平の時に強く下に引けるのですが、副作用で遮断棒を垂直にする時の磁石の移動距離が伸びてしまうため3つ横並びになりました。
磁石配置2は磁石の数が少なくてコンパクトですが遮断棒の磁石取付角度が90度になり、端部が少し大きく見えます。
まずは 磁石配置1 で susukuma鉄道模型チャンネルの設置済み踏切(4モーター版) の対策をすることにしました。
なお 磁石配置2 は FM90✕4個 を使ったコンパクトな踏切駆動機構を新規開発中ですのでそちらで試す予定です。
遮断棒の上振れを防止するため、遮断棒がストッパーに当たって水平になった状態でさらに下に強く引くように磁石配置を変える事にしました。
以前の設計では遮断棒を水平より下に引くには裏面磁石を遮断棒からかなり離れた位置に持ってくる必要があります。
その場合磁石間距離が長くなるため引力が弱くて十分な対策ができません。
いろいろ試した結果、遮断棒側の磁石に近い位置で遮断棒を下に強く引ける配置が2つ見つかりました。
磁石配置1は遮断棒側の形状が変わらず、磁石追加で対策増強が簡単です。
磁石を2つ横にならべれば遮断棒が水平の時に強く下に引けるのですが、副作用で遮断棒を垂直にする時の磁石の移動距離が伸びてしまうため3つ横並びになりました。
磁石配置2は磁石の数が少なくてコンパクトですが遮断棒の磁石取付角度が90度になり、端部が少し大きく見えます。
まずは 磁石配置1 で susukuma鉄道模型チャンネルの設置済み踏切(4モーター版) の対策をすることにしました。
なお 磁石配置2 は FM90✕4個 を使ったコンパクトな踏切駆動機構を新規開発中ですのでそちらで試す予定です。
4モーター版踏切機構の部品 Linear_M4_S2.stl を3連磁石装着用の以下と置き換えます。
Linear_M4_S3.stl
Φ6mm厚さ3mmの磁石は写真のように6個取り付けます。
図の磁石配置1に示したように中央は遮断棒と引き合う方向、両脇は中央と逆方向に取り付けます。
振れ幅調整ネジは遮断棒を垂直に調整する側(写真の左側)が20mmでは長さが足りなくて25mmに替えました。
水平側は20mmのままでOKでした。
位置調整ネジの設定はモーターと回路を接続しない状態で行ないます。
調整ネジを反時計回りに回してスライダーが最大範囲で動かせるようにします。
スライダーを中央に動かします。もし遮断棒が逆方向に倒れていたら45度になるよう手で遮断棒を動かします。
スライダーを手で少しずつ外側に動かして遮断棒を寝かせて行き、ちょうど水平になる位置(ストッパーが無くても水平になる位置)を見つけます。
そこからさらに4mm程度外側にスライダーを動かします。
その位置でモーターが駆動するアームに調整ネジが接触するようネジ位置を調整します。
この状態で遮断棒を指で水平より少し持ち上げてみると下げる方向に磁力が効いていることがわかります。
この力で車両モーターからの漏れ磁力による上振れを防ぎます。
次に逆側にスライダーを動かして遮断棒が垂直になる位置を探し、逆側(内側)のネジ位置も同様に調整します。