緊急報告:電源投入方法依存の故障発生
まとめと最終的対策(2022/1/28追記)
【発生する不具合】
信号機やスローポイント等で5VレギュレーターLP2950L-5を使った以前の回路では条件によって電源ON時に一瞬5Vを超える電圧が出る可能性があります。
そのためPICマイコンやプログラム書込みツールが故障する可能性があります。
【異常電圧発生条件】
以下のすべての条件がそろった時に発生します。
● 12V電源と基板の間に入れたスイッチやコネクタで電源をONにする。
● 5Vレギュレーターに以前の回路図に掲載していたLP2950L-5の低ドロップアウト(C-MOS)型を使っている。
● 基板上のレギュレーターの5V出力側に入れたコンデンサ容量の合計が2~3μF程度で小さい。
【対策】
以下の対策をどれか1つでも行なえば解消します。
すでに旧回路図をもとに製作した方がいらっしゃったら大変申し訳ないのですがご確認と対策をお願いいたします。
なお関連の回路図はレギュレーターの型番を問題の起こらないものに修正済みです。
〇 5Vレギュレーターの5V出力側のコンデンサ容量を10μF以上にする。
==> 回路図のC2またはC3を10μF以上のコンデンサに交換するか、並列に追加する。
(部品例:秋月電子通商 通販コード P-02184, P-13373 など)
〇 5Vレギュレーターを以前のLP2950L-5からバイポーラ型のTA78L05S、L78L05ACZなどに変更する。
〇 電源ONを12V電源の100V側のスイッチや100V ACプラグ接続で行う。
信号機やスローポイント等で5VレギュレーターLP2950L-5を使った以前の回路では条件によって電源ON時に一瞬5Vを超える電圧が出る可能性があります。
そのためPICマイコンやプログラム書込みツールが故障する可能性があります。
【異常電圧発生条件】
以下のすべての条件がそろった時に発生します。
● 12V電源と基板の間に入れたスイッチやコネクタで電源をONにする。
● 5Vレギュレーターに以前の回路図に掲載していたLP2950L-5の低ドロップアウト(C-MOS)型を使っている。
● 基板上のレギュレーターの5V出力側に入れたコンデンサ容量の合計が2~3μF程度で小さい。
【対策】
以下の対策をどれか1つでも行なえば解消します。
すでに旧回路図をもとに製作した方がいらっしゃったら大変申し訳ないのですがご確認と対策をお願いいたします。
なお関連の回路図はレギュレーターの型番を問題の起こらないものに修正済みです。
〇 5Vレギュレーターの5V出力側のコンデンサ容量を10μF以上にする。
==> 回路図のC2またはC3を10μF以上のコンデンサに交換するか、並列に追加する。
(部品例:秋月電子通商 通販コード P-02184, P-13373 など)
〇 5Vレギュレーターを以前のLP2950L-5からバイポーラ型のTA78L05S、L78L05ACZなどに変更する。
〇 電源ONを12V電源の100V側のスイッチや100V ACプラグ接続で行う。
トラブル内容詳細(2022/1/25記)
入換信号機用基板を作成していて2枚目までは問題なかったのですが、3枚目のPICマイコンのプログラム書き込みが出来なくなりました。
解析した結果、PICマイコンの不良や基板の配線/部品実装ミスではなくプログラム書込みツール(MPLAB SNAP)の故障でした。
さらに故障の原因は偶発的なものではなく、基板への電源供給条件に依存して5V系に瞬間的な異常電圧が発生するためらしいとわかりました。
この現象は信号機用だけでなく、同じ5Vレギュレーターを使っているすべての基板で起こる可能性があります。
まだ対策を検討継続中ですが、とりあえずの対策案や解析結果等をお知らせします。
解析した結果、PICマイコンの不良や基板の配線/部品実装ミスではなくプログラム書込みツール(MPLAB SNAP)の故障でした。
さらに故障の原因は偶発的なものではなく、基板への電源供給条件に依存して5V系に瞬間的な異常電圧が発生するためらしいとわかりました。
この現象は信号機用だけでなく、同じ5Vレギュレーターを使っているすべての基板で起こる可能性があります。
まだ対策を検討継続中ですが、とりあえずの対策案や解析結果等をお知らせします。
2022/1/25時点での対策
1. PICマイコンとプログラム書込みツール(MPLAB SNAPやPICKit4など)の接続はマイコンの電源をONにした後で行ないます。
これを守っていれば電源ON時に瞬間的な異常電圧が発生したとしても書込みツールに影響することはありません。
以下はPICマイコンに異常電圧が供給されないようにする対策です。
2. 12V電源(ACアダプタやパワーユニット)からの12V配線を先に基板と接続しておき、100V系のスイッチまたは100Vプラグの抜き差しで電源をON/OFFします。 これが可能な場合は後述のように問題がなくなります。
3. 12V供給ラインの途中にスイッチを付ける場合は基板の5Vレギュレーターの出力とGND間に10μF~100μFのコンデンサを追加します。
すでに実装されているコンデンサと並列接続するか、交換します。
例:10μF 16V セラミックコンデンサ (秋月電子 通販コード P-02184)
例:100μF 25V 電解コンデンサ (秋月電子 通販コード P-03122 極性に注意)
4. 5Vレギュレーターの変更(検討中)
C-MOSタイプではないバイポーラ型で改善する可能性があると思うので今後有効性を実測予定です。
これを守っていれば電源ON時に瞬間的な異常電圧が発生したとしても書込みツールに影響することはありません。
以下はPICマイコンに異常電圧が供給されないようにする対策です。
2. 12V電源(ACアダプタやパワーユニット)からの12V配線を先に基板と接続しておき、100V系のスイッチまたは100Vプラグの抜き差しで電源をON/OFFします。 これが可能な場合は後述のように問題がなくなります。
3. 12V供給ラインの途中にスイッチを付ける場合は基板の5Vレギュレーターの出力とGND間に10μF~100μFのコンデンサを追加します。
すでに実装されているコンデンサと並列接続するか、交換します。
例:10μF 16V セラミックコンデンサ (秋月電子 通販コード P-02184)
例:100μF 25V 電解コンデンサ (秋月電子 通販コード P-03122 極性に注意)
4. 5Vレギュレーターの変更(検討中)
C-MOSタイプではないバイポーラ型で改善する可能性があると思うので今後有効性を実測予定です。
現象の詳細と実験結果
ACアダプタ等の100V側でスイッチをONにした場合、12V出力は比較的緩やかに上昇します。
その場合、問題は起きません。
その場合、問題は起きません。
一方、ACアダプタから12Vが出ている状態で基板間の接続コネクタを挿したり、12V接続ライン上のスイッチをONにすると基板にかかる電圧は瞬時に12Vになります。
その場合、5Vレギュレーターの内部回路や寄生容量によっては5V安定までに時間がかかり高電圧が漏れ出る可能性があります。
検証のためにPICマイコンを載せず、レギュレータ周辺のみ実装した基板を用意してオシロで波形を観測しました。
その結果LP2950L-5では5V系のコンデンサ容量が少ないと大きな異常電圧が発生しました。
異常電圧はACアダプタなどの12V電源に内蔵されているコンデンサ容量にも多少影響される可能性がありますが、たぶん5Vレギュレーターの出力に10μF程度追加すればほとんど問題ないだろうと推測しています。
図のように5V系のコンデンサ容量を変えると以下のような電圧になりました。
【コンデンサ】 【ピーク電圧】
2 μF 10.5V
3 μF 7.6V
2+10 μF 5.8V
2+100 μF 5.0V
PICマイコンや書込みツールの高電圧耐性についての推測
いままで同じような基板をいくつも作り、プログラム書き込みにはPICKit3を使っていましたが今回のような問題に気づきませんでした。
5V系PICマイコンとPICKit3/4の書き込みツールは高電圧書込みモードの機能があり、そのモードではプログラム書込み時に部分的に5V以上の高電圧を使用します。
そのため電源仕様の5Vより高い電圧が瞬間的にかかっても耐えられたのかもしれません。
私は最近になってMPLAB SNAPを使い始めました。
MPLAB SNAPは高電圧書込みモードをサポートしていないので電源耐圧がPICKit3やPICマイコンに比べて低そうです。
そうだとすれば今になっての不具合発覚も納得です。
5V系PICマイコンとPICKit3/4の書き込みツールは高電圧書込みモードの機能があり、そのモードではプログラム書込み時に部分的に5V以上の高電圧を使用します。
そのため電源仕様の5Vより高い電圧が瞬間的にかかっても耐えられたのかもしれません。
私は最近になってMPLAB SNAPを使い始めました。
MPLAB SNAPは高電圧書込みモードをサポートしていないので電源耐圧がPICKit3やPICマイコンに比べて低そうです。
そうだとすれば今になっての不具合発覚も納得です。
今後の検討予定と回路図等アップデートについて
今回問題の起きた3端子レギュレーターLP2950L-5はC-MOSタイプ(低ドロップアウト仕様)で比較的新しいものです。
同一パッケージの古くからあるバイポーラタイプに替えるとコンデンサを足さなくても大丈夫かもしれません。
部品を入手するまでしばらく時間がかかると思いますが、その実験結果も揃ったら公開済みの回路図等を修正する予定です。
とり急き以上です。
同一パッケージの古くからあるバイポーラタイプに替えるとコンデンサを足さなくても大丈夫かもしれません。
部品を入手するまでしばらく時間がかかると思いますが、その実験結果も揃ったら公開済みの回路図等を修正する予定です。
とり急き以上です。
別型番のレギュレータ実験(2022/1/28追記)
バイポーラ型レギュレーター TA78L05Sが入荷したので実験したところ、5V系のコンデンサ容量が2μFでも異常電圧が発生しないことを確認しました。
複数メーカーから**78L05**という似た型番のレギュレーターが提供されていて、これらであれば問題が出ないと思われます。
各回路図のレギュレーターの型番を修正しました。
複数メーカーから**78L05**という似た型番のレギュレーターが提供されていて、これらであれば問題が出ないと思われます。
各回路図のレギュレーターの型番を修正しました。